不動産担保評価額の算出方法 評価が低い不動産は?

 

融資額に大きく影響する不動産担保評価額。その価格はいったいどのような方法で算出されるのでしょうか?

不動産担保ローンのご利用をお考えの方は、算出方法を理解していると、担保にしようとしている物件がどのくらいの評価を受けるのかがわかり、おおよその融資額を予測することができます。ぜひ参考にしてみてください。

 

 

1.不動産担保ローンとは

不動産担保ローンは、不動産を担保にローンを組み、高額の融資を長期で返済していくのが特徴です。資金の使途は自由なことが多く、個人での利用のみならず、事業者や法人の方の事業資金にも利用できます。(一部の金融機関を除く)

 

(1)不動産担保ローンの融資額と融資期間

不動産を担保にするため、高額な融資を受けることが可能で、長期的に返済していきます。金融機関やコースにもよりますが、融資額の上限は5億円や10億円などとかなり高額で、融資期間は数十年のところが多いです。もちろん実際の融資額は、担保にする不動産の評価や、申込者の返済能力により決定するため、必ずしも億単位の融資を受けられるとは限りません。

 

〇一般的な不動産担保ローンの融資額と融資期間

・融資額:100万円~10億円

・融資期間:1ヶ月~35年以内

※金融機関やコースにより、融資額と融資期間の範囲は異なります。

 

(2)不動産担保ローンの金利

低い金利で融資を受けられることも不動産ローンの特徴の1つです。

担保があると、金融機関は貸し倒れのリスクが少ないため、金利を低くすることができます。また、一般的に融資額が高額なほど金利は低くなる傾向にありますが、不動産担保ローンも融資額が高額なため、金利は低くなりやすいです。

 

(3)担保にできる不動産とは

住宅(戸建てやマンションなど)や、事務所、商業施設、空き地などが対象で、居住中や賃貸中でも可能です。また、マンションやアパートは部屋単位か一棟かは問いません。住宅ローンが残っている場合や、本人以外が所有する不動産も対象とする場合も多いです。

住宅ローンが残っている場合は、ローン残高が不動産購入価格の約6割以下(目安)であるなどの条件があります。

また、本人以外が不動産を所有している場合、所有者は家族や親せきに限られ、連帯保証人になってもらうのが条件です。共有名義の不動産も可能で、同じく連帯保証人になってもらいます。

対象エリアとしては、多くの金融機関が全国の不動産を扱っています。

 

(4)メリットとデメリット

不動産担保ローンは、その特徴によりメリットとデメリットがあります。デメリットをよく理解したうえで、メリットを活かしてください。

 

〇メリット

1.他のローンに比べて金利が低い

万一返済できなかった場合、担保がなければ金融機関は貸し倒れの心配があります。しかし、不動産担保ローンは担保となる不動産に抵当権を設定し、返済されなかった場合は、その不動産を売って残債に充てることができるので、リスクは少ないです。そのため高い金利を設定する必要がなく、低い金利でお金を貸すことができます。

 

2.保証人が不要

担保にする不動産が本人名義の場合、保証人を用意する必要がない、または保証会社へ保証を委託するケースが多いです。保証人は誰かにお願いしづらいので助かりますね。

 

3.月々の返済の負担が減る

融資額は高額ですが、融資期間が長いため月々の返済額は少なく、支払いの負担を減らすことができます。ただし、返済期間が長いと金利を長く払い続けていることになるので、返済総額は増えます。

 

〇デメリット

1.担保にした不動産を手放す可能性がある

万一完済できなければ、担保にした不動産は、金融機関が売却して残債に充てるため、戻ってきません。不動産を担保にするため高額の融資を低金利で長期間受けられるのはありがたいですが、不動産を失うリスクはかなり大きいです。利用前には十分な検討が必要ですね。

 

2.諸費用が高い

借入時に実費として印紙税や登記費用の他、火災保険などの諸費用がかかります。

印紙税は融資額が1億円~5億円で10万円、5億円~10億円で20万円にもなります。登記費用は、登録免許税が融資額の0.4%、司法書士への報酬が7万円程度(目安)です。他には金融機関へ払う事務手数料も必要です。

また、繰り上げ返済を行う際の手数料や、金利変更手数料など、利用中にも何かと費用がかかってきます。

 

担保評価額の算出方法

 

 

では、実際にどのように担保評価額が算出され、融資にいたるのでしょうか。融資までの手順や算出方法をご案内します。

 

(1)融資までの手順

金融機関によって多少手順は異なりますが、基本的には以下のような流れで進めていきます。不動産の評価は本審査で行われます。

 

1.相談

不動産を担保に融資を受けることになったら、まずはいくつかの金融機関に相談しましょう。相談は、電話やメール、WEBなどでも対応してくれる金融機関が多いです。可能ならどれくらい融資をしてもらえるのか見積もりを出してもらい、金額や条件、担当者の対応などを比較してから、申し込みを検討してください。

 

2.仮審査

必要書類を提出し、返済計画や事業計画などを伝えます。結果の連絡は早くて当日~翌営業日が目安です。金融機関によっては、仮審査の時点で保証会社の審査も行われ、勤務先に在籍確認の電話がかかってくる場合があります。

 

3.本審査

担保にする不動産の評価が行われ、ここで算出された担保評価額が融資額を大きく左右します。不動産の評価と同時に申込者の返済能力も審査され、不動産担保評価額と返済能力の両方で融資について判断されます。

 

4.契約・融資

審査に通過すると融資額や条件が提示されます。問題がなければ契約、融資実行となります。契約には様々な手続きが必要ですが、抵当権設定などの手続は司法書士が代行してくれます。

 

(2)評価のための必要書類

不動産の評価を行うために、下記の書類が必要です。

 

〇必要書類

不動産の登記事項証明書や登記簿謄本

公図

地積測量図

建物図面

固定資産公課証明書

航空写真 など

 

(3)そもそも担保評価額とは

担保評価額とは、担保にする不動産の評価金額で、市場価格を基に金融機関が独自に算出します。不動産担保ローンは融資期間が長期のため、今後市場価格が下がっていく可能性をふまえた額で算出されることがほとんどです。

なお、不動産自体の価値が高ければ担保評価額も高くなり、高額な融資を期待できますが、実際の融資額は申込者の返済能力なども加味されて決まります。「担保評価額=融資額」ではありません。

 

(4)担保掛目とは

前述のように、金融機関は、担保となる不動産の価値が今後下がる可能性があるため、市場価格に一定の比率を掛けた額を担保評価額として算出します。この比率のことを担保掛目と言い、70%としている金融機関が多いです。ただし、自社で不動産売買を行っている不動産担保ローン専門の金融機関では、担保掛目を90%~100%に設定しているところもあります。

 

(5)担保評価額の算出方法

市場価格の求め方と、それによる評価額の求め方をご案内します。

 

〇市場価格の求め方

不動産の価値(市場価格)は、場所や大きさなどで決まりますが、建物は築年数がたつほど価値が下がるので、最も影響するのは土地の価格です。まずはそれぞれの市場価格の求め方をお伝えします。

 

・土地の評価

土地の評価は、路線価や基準地価などを基に算出されます。

路線価とは道路に面した土地の1㎡あたりの価格で、その年の1月1日時点の価格を毎年7月~8月に国税庁が発表します。基準地価とは都道府県が指定した全国約2万地点の基準値での1㎡あたりの標準価格で、その年の7月1日時点の価格を毎年9月に都道府県が発表します。

土地の面積に路線価や基準地価を掛けると土地の評価額がわかります。

例:土地の面積(200㎡)、路線価15万円の場合の土地の評価額

土地の面積(200㎡)×路線価15万円=土地評価額3千万円

 

・建物の評価

建物の評価は、その建物を再建築した場合の費用(再調達費用)に、建物の床面積と残存年数(法定耐用年数から築年数を引いた年数)を掛けて、最後に法定耐用年数で割って算出されることが多いです。法定耐用年数は建物の構造により決まっており、木造で22年、鉄筋コンクリート造で47年です。

例:再調達費用20万円、建物床面積100㎡、法定耐用年数22年、残存年数7年(築年数15年)の場合の建物の評価額

20万円(再調達費用)×100㎡(建物床面積)×7年(残存年数)÷22年(法定耐用年数)=建物の評価額636万円

 

賃貸物件の場合、上記のような方法ではなく、賃貸収益の高さで評価する方法もあります。収益率の高い建物は評価が高いです。

 

〇担保評価額の求め方

土地と建物それぞれの市場価格がわかれば、あとは合算した額に担保掛目を掛けると担保評価額が算出されます。

例:土地の評価1,500万円、建物の評価500万円、担保掛目70%の場合の担保評価額

2,000万円(土地の評価+建物の評価)×70%(掛目)=1,400万円(担保評価額)

 

〇現地調査がある場合も

不動産担保評価額は、書類やデータだけで算出されるのではなく、劣化具合や境界の確認、周辺調査などの現地調査も行われ、市場価格を基に算出された担保評価額からさらに変わる場合があります。

 

以上のように、担保評価額は路線価などを基に自分で計算してみることも可能です。しかし、金融機関独自の担保掛目や現地調査があるため、市場価格よりかなり低くなる可能性があることを覚えておきましょう。

 

 

3.評価額が低い物件例

できることなら高く評価してもらいたいものですが、様々な理由から評価が低い物件もあります。評価のポイントとしては、もし金融機関が担保にしていた不動産を売却することになった場合、売却できそうな物件かどうかです。どんな場合が売却しにくく、低く評価されるのかを見ていきましょう。

 

(1)利便性の低い土地

交通の便が悪く人の流れが少ない場所や、周りにスーパーや学校、医療機関などがない場所は、利便性が低いため評価額が低くなる可能性があります。ただし、今後新しい商業施設や駅が近くにできるなどの変化があれば、価値は上がっていくでしょう。

 

(2)状態の悪い建物

建物が時とともに老朽化が進むのは避けられませんが、少しでも良い状態を保つ努力をすることはできます。築年数のわりに内部の状態が悪かったり、修理が必要な個所をほったらかしにしたりしているような建物では評価は下がってしまいます。

 

(3)形状の悪い土地

長方形や四角形などの整形地は使い勝手が良いため評価は高いですが、旗竿地(旗のような形の土地で、道路に面する間口が狭く、奥に広い敷地がある土地)や凹凸のある不整形地は用途が限られるため、評価が下がることが多いです。

 

(4)広すぎる土地

土地が広いと融資額が高くなると思われがちですが、実際にそうとは限りません。人気の住宅街などマンションを建てるのに好条件のエリアであれば、広い土地でも買い手が見つかるかもしれませんが、通常、広すぎる土地は用途に困るため、買い手が見つかりにくいです。

 

(5)日当たりの悪い物件

建物も土地のみの場合も、日当たりのよい物件は評価が高くなります。よって北側に道路がある物件や、接面する道路との高低差が大きい場所は需要が少なく、評価は低いでしょう。

その他、山奥の土地や農地、工場などは、買い手が見つかりにくいので評価額が低くなります。

 

〇まとめ

金融機関により算出された不動産担保評価額は融資額に大きく影響します。よって、事前に評価額がいくらになりそうなのかを知っておくことが大切です。算出の際には以下のポイントも参考にしてください。

 

不動産担保評価額の算出方法のポイント

1.土地と建物に分けて算出され、建物の価値は時間の経過とともに下がっていくため、ほとんどが土地の価値で決まる。

2.市場価格を基に算出されるが、金融機関の現地調査によって様々な要素が加わり決定される。

3.金融機関は不動産の価値が将来下がる可能性をふまえて、市場価格よりも一定の比率(目安は70%)を掛けた額を担保評価額とする。

 

なお、実際の融資額は担保評価額と同額ではありません。いくら不動産担保評価額が高くても、自らの返済能力が低い(過去に金融トラブルがあるなど)場合は、融資額を下げられるでしょう。不動産担保ローンは高額を長期間かけて返済していきます。全てのことを理解し、十分納得してから、お申し込みください。

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