【最新版】不動産の相続登記の義務化はいつから?手続きをするべき理由や方法を解説

「不動産担保融資を受けたいが、相続登記が終わっていない」

「不動産の相続登記はするべきなの?」

「不動産の相続登記の方法を知りたい」

このように悩んでいませんか?不動産を相続したあとには、相続登記をするべきなのか迷ってしまいますよね。

 

結論から説明すると、不動産担保融資を受ける観点からも相続登記をすることを推奨します。

本記事では、不動産担保融資を受けたいが、相続がまだ終わっていない方に向けて、不動産の相続登記の義務化開始日や手続きをするべき理由、方法について解説します。

不動産の相続登記をすぐにできない場合の解決方法まで説明しますので、相続時の参考にしてみてください。

 

目次
  1. 不動産の相続登記は2024年4月1日から義務化開始!

    1. 相続登記とは?
    2. 相続登記の期限
    3. 3年以内に登記しないと10万円以下の過料を科せられる
  2. 不動産の相続登記をするべき3つの理由

    1. 遺産分割協議をスムーズに行える
    2. 不動産を売却できるようになる
    3. 不動産を担保に融資を受けられる
  3. 【5Step】不動産の相続登記の方法

    1. 【Step.1】「登記事項証明書」を取得する
    2. 【Step.2】戸籍謄本を収集する
    3. 【Step.3】書類を用意・作成する
    4. 【Step.4】登記申請を行う
    5. 【Step.5】登記識別情報通知を取得する
  4. 相続登記をすぐにできない場合の2つの対策

    1. 法定相続登記を申請する
    2. 相続人申告登記の申出をする
  5. 不動産の相続登記に関するQ&A

    1. 不動産の相続登記は司法書士に依頼するべきですか?
    2. 相続登記は自分でできますか?
    3. どのくらいの費用がかかりますか?
  6. 不動産の相続登記を行い手続きをスムーズに進めよう

 

 1.不動産の相続登記は2024年4月から義務化開始!

不動産を相続した場合、亡くなった方から遺産を相続人へ変更する手続きを相続登記といいます。これまで相続登記は任意でしたが、2024年4月1日から法律で義務付けられる予定です。

相続登記をしないと、不動産の売買のような取引ができないだけでなく、罰則もあります。本項では、相続登記の概要や手続き期限について詳しく解説します。

 

(1)相続登記とは?

不動産の相続登記とは、土地や建物の所有者が死亡した場合に、相続人が法務局に届け出て、所有者の変更を登録する手続きです。相続登記により、不動産の権利関係が明確になり、所有者になった事実を証明できます。

さまざまな手続き時に必要であり、不動産を担保にお金を借りたり、売却したりする際にも相続登記が求められます。

注意点として、相続登記の義務化開始日である2024年4月1日より前に相続が発生していた場合でも、登記の申請が必要です。

 

(2)相続登記の期限

改正された不動産の相続登記法では、2024年4月1日より相続人は原則として、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならないと定められています。

別の条件として、遺産分割協議を行い不動産の取得が決定した相続人は、遺産分割協議の成立日から3年以内に相続登記をする必要があります。

相続開始日から相続登記の期限が起算されるのではなく「不動産の所有権を相続したことを知った日」から開始されるので、注意しておきましょう。

 

(3)3年以内に登記しないと10万円以下の過料を科せられる

改正された不動産の相続登記法では、相続人が3年以内に正当な理由なく相続登記をしなかった場合には、10万円以下の過料を科せられると定められています。

相続登記においての正当な理由とは、以下の場合です。

  • 相続人が多く、資料収集とほかの相続人の把握に時間がかかる場合
  • 遺言の内容の有効性や遺産の範囲が原因で争われている場合
  • 申請義務のある相続人が重病をもっている場合

このような正当な理由が存在しない際には、過料を科せられないためにも相続登記を早めに行いましょう。

 

 

 2.不動産の相続登記をするべき3つの理由

相続登記を行うと、遺産分割協議をスムーズに行えたり不動産を担保に融資を受けられたりするメリットがあります。

本項では、不動産の相続登記をするべき3つの理由を解説します。

 

(1)遺産分割協議をスムーズに行える

早めに不動産の相続登記をすると、相続人間の権利関係が明確なうちに遺産分割協議(亡くなった方の遺産の分け方を相続人全員で決める協議)を進められます。不動産を相続した際に相続登記を後回しにすると、将来的に新しい相続人が増え、遺産分割協議が複雑になる場合があるからです。

例として、父親が亡くなり母親と長男、次男が相続人になった場合を考えましょう。この場合、すぐに相続登記を行えば、相続人は母親と長男、次男になり遺産分割協議はスムーズに行えます。

しかし、10年や20年など、長期的に相続登記をしなかった場合、長男が亡くなり長男の妻や息子も相続人になるといったケースが発生しかねません。そのようなリスクに備え遺産分割協議をスムーズに行うためにも、不動産の相続登記をしておきましょう。

それ以外にも、遺産分割協議には全員の捺印が求められるので、相続人が集まりやすいうちに相続登記をしておくと良いでしょう。

 

(2)不動産を売却できるようになる

相続登記を行い不動産を相続人名義にすると、売却できます。民法177条において、登記していなければ第三者に対して対抗できないと規定されているからです。

つまり、相続人が不動産を売却する際には、相続登記を行い名義人である事実を証明する必要があります。

そのほかにも不動産の相続登記が早ければ、土地の資産評価額が高いうちに売却できるメリットがあります。

不動産を売却して相続人同士が分割する現金を高くするためにも、相続登記を早めに行ってください。

 

(3)不動産を担保に融資を受けられる

相続登記をして被相続人から相続人へ名義変更されると、融資を受けられます。被相続人名義では、不動産を担保にお金を借りられないからです。

したがって、相続税の納税や代償分割(特定の相続人が不動産を相続して、代わりにほかの相続人に対して相続分の金銭を渡す方法)の場合に役立つでしょう。多額の現金を支払うときに、不動産の相続登記をしておくと、担保をもとに融資を受けやすくなります。

注意点として、法律関係が複雑になる程相続登記に時間がかかるので、相続税の納付や代償分割に間に合わせるためにも早めに手続きを行いましょう。

 

 

 3.【5Step】不動産の相続登記の方法

相続登記を行う際は、書類の収集や申請書の作成、証明書の発行などの手続きが発生します。

本項では、相続登記の方法を5Stepでわかりやすく解説します。

 

(1)【Step.1】「登記事項証明書」を取得する

登記事項証明書(登記簿謄本)とは、不動産の登記内容を証明する書類です。不動産の所在地や面積、所有者、抵当権などの情報が記載されています。

発行手数料が600円で、法務局や市区町村役場の窓口で受け取れます。

また、法務局によると、オンライン請求による発行も可能です。オンライン請求を行い郵送で受け取る場合は発行手数料500円、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る際には、480円になります。

どちらの手続きの場合も、地番(土地の登記上の番号)と家屋番号(建物の登記上の番号)が求められることから、あらかじめ確認しておきましょう。

 

(2)【Step.2】戸籍謄本を収集する

戸籍謄本とは、戸籍に記載されている全員の身分事項を証明する書類です。本籍地や氏名、生年月日、配偶者、親子関係などの情報が記載されています。

戸籍謄本は、相続人と被相続人のものを用意してください。発行する際には、市区町村の窓口で手続きする場合と郵送の際で用意する資料が異なります。

市区町村の窓口で請求する場合 ・戸籍証明等交付申請書(役所のホームページからダウンロード可)

・印鑑(シャチハタ不可)

・本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)

郵送で請求する場合 ・戸籍証明等交付申請書

・本人確認書類の写し

・手数料分の定額小為替

・返信用封筒と切手

また、発行手数料は1枚450円です。

マイナンバーカードを利用して、コンビニで戸籍謄本を受け取る方法もあるので、積極的に利用してください。

 

(3)【Step.3】書類を用意・作成する

不動産の相続登記には、以下の書類を用意・作成する必要があります。本項では、法定相続分どおりに相続する場合の必要書類を解説します。

 

【用意する書類】

対象者 必要書類 内容 入手先
被相続人

(亡くなられた方)

被相続人の戸籍謄本(除籍謄本) 出生から死亡までの身分事項が記載された書類 市区町村役場
被相続人の住民票の除票 登記簿上の被相続人と戸籍上の被相続人が同一人物であることを証明するために必要 市区町村役場
法定相続人

(不動産取得者)

相続人の戸籍謄本 被相続人が亡くなった日以降に発行された戸籍謄本 市区町村役場
相続する不動産の固定資産評価証明書 土地や建物などの固定資産の評価額を証明する書類(固定資産課税証明書でも代用できる場合あり) 市区町村役場
印鑑証明書 相続人全員の印鑑登録を証明する書類 市区町村役場
不動産取得者の住民票 不動産を相続する人は住所証明情報が必要 市区町村役場

 

【作成・税金納付する書類】

対象者 必要書類 内容 入手先
法定相続人

(不動産取得者)

登記申請書 不動産の相続登記の内容や理由を記入する書類 法務局
固定資産評価証明書 登録免許税を支払うために「固定資産評価証明書」を示す書類 市区町村役場
登録免許税納付書 不動産の相続登記にかかる登録免許税を納付するための書類 税務署
収入印紙(※) 登録免許税を納付する際に利用 郵便局・コンビニ・法務局
返信用封筒 戸籍謄本などの原本返却を依頼する場合に必要 郵便局・コンビニ

※登録免許税は現金での納付も可能です(3万円以下の場合は、収入印紙での納付が可能)。

相続登記に必要な書類は、市役所の窓口や法務局、コンビニなどで発行できます。

抜けや漏れがないように書類を用意・作成しておきましょう。

 

(4)【Step.4】登記申請を行う

上記の書類をそろえたら、法務局に提出します。法務局は、書類の内容や添付資料を確認し、問題がなければ受理します。

受理されたら、登録免許税納付書に基づいて税金を納付してください。

 

(5)【Step.5】登記識別情報通知を取得する

登記識別情報通知とは、不動産が名義変更された際に、新たに名義人に通知される書類です。登記申請したあとに、法務局から登記識別情報通知が送付されます。

不動産の登記番号や登記日、登記の目的などの情報が記載されています。

登記識別情報通知書は不動産の登記情報が記載されている重要な書類なので、第三者に見られないように厳重に保管しておきましょう。

 

 

 4.相続登記をすぐにできない場合の2つの対策

不動産の相続登記をすぐにできない場合には、先延ばしにするのではなく法定相続分での相続登記や相続人申告登記をしましょう。

 

(1)法定相続分で相続登記をする

遺産分割協議において、相続人全員の合意を得られず成立しない場合があります。そのときには、遺産分割協議が成立するまで法定相続分での相続登記(民法が定めた法定相続分どおりに相続登記を申請すること)がおすすめです。

それにより、3年以内の相続登記の義務を免除されます。遺産分割協議で話がまとまるまでの時間に猶予をもたせられるでしょう。

しかし、法定相続分による相続登記を行うと不動産が共有状態になるため、売却時にトラブルが発生する可能性があります。

また、遺産分割協議が合意され登記内容を変更する場合は、相続登記の手間や費用が追加でかかります。

これらの理由により「遺産分割協議がうまくいかない」といった場合にのみ、法定相続分で相続登記をしましょう。

 

(2)相続人申告登記の申出をする

相続人申告登記とは、自らが相続人である事実を申し出る制度です。法務省によると、遺産分割協議がまとまらない場合に、相続人申告登記の申出を行うと相続登記の義務を履行したものと見なすと規定されています。

条件として、3年以内に遺産分割が成立しない場合は、3年以内に相続人申告登記を行う必要があります。その後、遺産分割が成立した際は、遺産分割成立日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

相続登記の期間を延長できることから、すぐに手続きできない場合に相続人申告登記の申出を推奨します。

 

 

 5.不動産の相続登記に関するQ&A

本項では、不動産の相続登記においてよくある疑問にお答えします。

 

(1)不動産の相続登記は司法書士に依頼するべきですか?

不動産の相続登記は、書類の記載方法や提出方法などが細かいため、司法書士への依頼をおすすめします。

なぜなら、相続登記に関わる書類は、発行元や取得方法が異なり、内容や記載方法にも細かいルールがあるからです。また、相続人が複数いる場合や遺言書がある場合など、手続きが複雑になるケースもあります。

さらに、相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合には、専門的な知識が必要になります。

このような理由から、不動産の相続登記に精通している司法書士に依頼して不足なく手続きを済ませる方が良いでしょう。

 

(2)相続登記は自分でできますか?

前項で解説したように相続登記は司法書士に依頼するのが望ましいですが、自分でも手続き可能です。

必要な書類をそろえて登記申請を行うと、相続登記を行えます。

自分で手続きする際には、以下の点に注意してください。

  • 書類に不備があると修正を求められる
  • 登録免許税の納付方法に誤りがあると、罰則の対象になる
  • 登記所への提出方法や期限に注意しないと、過料請求の対象になる

上記のような問題が発生する可能性があることから、自分で不動産の相続登記を行う際には、知識が必要です。

複雑な手続きになる場合は、司法書士に依頼してみましょう。

 

(3)相続登記はどのくらいの費用がかかりますか?

不動産の相続登記にかかる費用は、以下のように分類できます。

  • 登録免許税
  • 司法書士報酬
  • そのほかの費用

登録免許税は、不動産の価格や種類に応じて決まる税金であり固定資産税評価額の0.4%が税率です。例えば、不動産の価格が1億円であれば、登録免許税は40万円となります。

司法書士に依頼する際の料金は、司法書士事務所により異なります。平成30年の日本司法書士会連合会が実施した「報酬アンケート結果」によると、相続登記における司法書士報酬の平均は6万円〜7万円程度でした。しかし、現在は相続登記にかかる料金が高くなっており、10万円程度となっています。現在の司法書士報酬の相場を考慮しながら、司法書士に依頼してみましょう。

そのほかの費用は、必要な書類の発行手数料や郵送費などです。相続登記の内容や規模によって異なりますが、数万円程度と考えておくと良いでしょう。

 

 

 6.不動産の相続登記を行い手続きをスムーズに進めよう

不動産の相続登記の義務化開始日は、2024年4月からです。相続登記を3年以内にしなければ、10万円の過料を課せられる場合があります。

相続登記をすることで、遺産分割協議をスムーズに行えたり不動産を売却できるようになったりするので、早めに手続きを行いましょう。

不動産担保融資をスムーズに利用するためにも、相続登記を行うようにしてください。

 

※本資料は記事掲載時の法律等に基づいて作成しております。また、内容につきましては、情報の提供を目的として一般的な法律・税務上の取扱を記載しております。このため、諸条件により掲載の内容とは異なる取扱がなされる場合がありますのでご留意ください。実際に相続手続きを行うにあたっては、必要に応じて弁護士や税理士等と十分ご相談の上、ご自身の責任においてご対応くださいますようお願いいたします。
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