不動産を担保にしてお金を借りる「不動産担保ローン」と「住宅ローン」。似たようなイメージですが、どのような点が違うのでしょうか?それぞれの特徴やメリット・デメリットをご案内いたします。
様々なシーンで利用できる「不動産担保ローン」。まずはその特徴を見ていきます。
金融機関や融資金額などにより異なりますが、目安として、銀行を利用した場合が0.62%程度~9.5%程度、ノンバンクでは3.5%程度~15.0%程度です。カードローンなどの無担保ローンの金利(目安で1.5%程度~18.0%程度)よりは低く設定されています。
利用目的に制限がありません。お子様の教育費や、住宅の住み替えの他、一部の金融機関を除いては、事業資金としても活用できるため、開業資金や事業拡大の資金にすることも可能です。
住宅などの居住用の不動産や、事務所や商業施設、土地などを対象としており、居住中や賃貸中、空き家・空室、未使用などを問いません。購入予定の不動産でも可能な場合があります。
また、家族や親せきが所有する不動産や、共有名義でも可能な場合が多いです。
1年以上~最長20~35年の金融機関が多いです。(ただし、完済時の年齢基準を設けている場合はその年齢に達する時まで。)期間が長いため、月々の負担を減らして返済していくことができます。
次に、住宅の購入やリフォームのために利用する「住宅ローン」の特徴を見ていきます。
金融機関や物件などにより異なりますが、変動金利では0.5%を下回り、とても低い金利で融資を受けることができます。また、長期固定金利(フラット35)でも0.56%程度~1.6%台と他のローンと比べて低い金利に設定されています。
ご自身が住む住宅の建築・購入やリフォーム、それに現在利用中の住宅ローンの借り換えのために利用することを目的としています。
購入する(またはリフォームや借り換えをする)住宅を担保にします。
契約者本人が住む住宅に対してのローンのため、担保にする不動産は契約者本人名義の不動産に限られます。
最長35年という金融機関が多いです。借入期間は契約者が決めることはできず、金融機関で予め決められています。
〇使途が自由なため、様々な目的に対応できる
融資が必要になった時に、その理由を問わず申し込むことができます。
複数の借入をしている方のおまとめローンとして、また新規事業用の資金調達や納税などにも活用できます。もちろん、住宅などの不動産購入やリフォーム費用としても利用できるので、事情により住宅ローンを利用できない人や審査に通らなかった方も、申し込んでみる価値があります。
〇本人以外が所有する不動産でも担保にできる
例えば、父が所有する不動産を担保に、息子が不動産担保ローンを契約し、その借入金を住宅購入や教育費などに利用することができます。ただし、担保提供者(この場合は父)に連帯保証人になってもらう必要があります。
〇住宅ローンよりも金利が高い
住宅ローンの金利と比べると、金利は高いことが多いです。ただし、他のローンよりは低いので、あくまで住宅ローンと比較しての場合になります。
〇金利が低く、優遇されている
金利がかなり低いため、住宅ローンを利用することでマイホームを手に入れたり、リフォームがしやすくなります。また、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利「フラット35」を利用することができるのもメリットの1つです。
〇住宅ローン減税制度で控除を受けられる
条件を満たし、手続きをすることで、購入から10年間(居住開始時期により13年間の場合あり)は、残高の1%が所得税から控除されるため、節税の効果を期待できます。
〇使途や担保などの制限が多い
資金使途はあくまで自宅の購入・建築やリフォーム、または借り換えであることと、その物件の所有者が契約者本人でないといけないことが定められており、また融資期間も自分で設定することはできません。
〇審査が厳しい
どのローンも本人の収入や過去の金融トラブルなどを審査されますが、中でも住宅ローンは審査が厳しいです。ある程度収入があったとしても、転職したての方などは審査に通らない場合があります。
〇団体信用生命保険の加入
民間金融機関の住宅ローンでは、指定された団体信用生命保険に加入することが条件とされています。ローン利用中に契約者に万一のことがあれば残りのローンが免除される保険ですが、契約時点で持病があるなどの事情で加入できない方もいらっしゃいます。
また、保険料は無料とされていますが、実際は金利に含まれています。
「不動産担保ローン」と「住宅ローン」は、資金の使途を始め、その他の条件が全く異なり、住宅ローンの方が金利は低いですが条件が厳しく設けられています。一方、不動産担保ローンは、幅広い方に借りやすいローンであり、住宅ローンを利用できない方でも申し込みやすいです。
共通して気を付けなければいけないことは、完済できなければ金融機関は担保にした不動産を売却して残債に充てるため、自宅などの担保にした不動産が戻ってこないということです。どちらも契約前には余裕をもった返済計画を立て、無理のない範囲で融資を受ける必要がありますね。