「不動産担保ローンの審査に落ちてしまった」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
不動産担保ローンは、保有している不動産を担保としてお金を借りるローン商品です。
お金を借りるためには、審査に通過する必要があります。不動産担保ローンを提供している会社の審査に通過できなければ、残念ながらローンは利用できません。
こちらの記事では、不動産担保ローンの審査に落ちる理由や、審査に通過するためのコツなどを紹介していきます。
不動産担保ローンの審査に落ちてしまった方や、これから申し込みを検討している方にとって役立つ内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください。
不動産担保ローンに落ちる主な理由は「物件の担保価値」「申込者の状況」に大別されます。
以下で、不動産担保ローンの審査に落ちる理由について解説していきます。
担保として設定しようとしている不動産の価値が低いと、不動産担保ローンの審査に落ちてしまいます。
不動産担保ローン会社は、不動産の担保価値を算出するときは、時価よりも低い公示地価などを参考にします。
5,000万円で購入した不動産であれば、ざっくりと3,500万円程度で評価される、というイメージです。
担保不動産の価値が低いと、債権者としては債権回収リスクを負うことになるため、ローンの審査に落ちてしまう要因となります。
担保不動産が担保に適していない場合、評価の対象外となるため不動産担保ローンの審査に落ちてしまいます。
建築基準法に違反している不動産や係争中の不動産など、価値を大きく損ねる理由がある不動産は、担保に適していません。
債権者は、債務者が債務不履行に陥ったときの備えとして、不動産を担保に取ります。
そのため、そもそも担保に適していない不動産しか保有していない場合は、残念ながらローンの審査に落ちてしまうでしょう。
担保として提供する不動産の流動性が低いと、不動産担保ローンの審査に通過するのは難しくなります。
流動性とは「売りやすさ」「取引のしやすさ」のことです。流動性が高ければ、希望の価格で売却できる可能性が高いですが、流動性が低いと希望の価格で売却できる可能性が低いです。
不動産担保ローン会社は、債務者が債務不履行に陥ったら担保不動産を競売にかけて債権を回収するため、流動性を重視します。
流動性が低い不動産を担保にとっても、債権回収リスクは高いことから、立地などを鑑みて「流動性が低い」と判断されると、審査に落ちてしまうでしょう。
担保として提供しようとしている不動産に第一抵当が設定されている場合、不動産担保ローンの審査に落ちてしまう可能性が高いです。
例えば、住宅ローンの残債がある住宅には、第一抵当として住宅ローンを借り入れている金融機関が抵当権を設定しています。
第二抵当以下の債権者は第一抵当権者よりも弁済を受けられる優先度が低いため、債権回収リスクが高くなります。
例えば、4,000万円で売却できる物件に対して第一抵当権者の債権が3,000万円ある場合で考えてみましょう。債務者が返済不能状態になったら、第二抵当権者以降は第一抵当権者が債権を回収した後の、1,000万円の弁済しか受けられないことになります。
なお、不動産の担保余力は下記の計算式で算出することが可能です。
不動産の評価額-不動産のローン残債=担保余力
このように、第一抵当が設定されている不動産は担保余力がないことから、不動産担保ローンの審査に通過するのは難しいのです。
申込者の収入状況が悪いと、不動産担保ローンの審査に落ちやすいです。
収入は返済能力を測るための重要な指標であり、収入が低い場合や非正規雇用などで収入の安定感がない場合は、良い印象を持たれません。
なお、申込者の収入状況を知るために、主に下記の情報がチェックされます。
・収入
・勤務先
・勤続年数
・雇用形態
・借入件数
・借入総額
不動産担保ローンは、不動産の担保価値だけでなく申込者の収入もチェックされます。
担保不動産の価値が高くても、収入と支出のバランスが悪く返済能力が低いと判断されると、残念ながら審査に通りません。
申込者の信用情報が悪い場合も、不動産担保ローンの審査に落ちる大きな理由です。
不動産担保ローンの審査では、申込者の収入状況に加えて、借入状況や返済状況などの信用情報もチェックされます。
もし過去に延滞や支払い遅延などを起こしていると、信用情報機関にその旨が記録されます。
信用情報が悪いと「返済能力が乏しいのではないか」という印象を持たれることから、審査において大きな不利となる可能性が高いです。
そのため、不動産担保ローンの利用を検討している方は、不動産の価値だけに着目するのではなく、自分の信用情報を良好に保つことも意識しましょう。
なお、自分の信用情報は信用情報機関に対して情報開示の請求が可能なので、気になる場合は照会することをおすすめします。
不動産担保ローンの審査では、申込者の情報と担保として提供する不動産がチェックされます。
具体的に、どのような内容が審査項目となっているのか解説していきます。
申込者の審査基準とは、申込者の返済能力や信用情報のことで、具体的には以下のような項目が審査されます。
・収入
・収入の安定度
・勤続年数
・雇用形態
・過去の滞納歴
・他社の借入状況
・申し込み内容の不備
提出した申し込み内容と、信用情報機関への照会を通じて、申込者の返済能力や信用情報の審査を行います。
十分な収入があり、過去に延滞などの金融事故を起こしておらず信用情報が良好であれば、審査に通りやすくなります。
不動産担保ローンでは不動産を担保として提供するため、不動産の担保価値もチェックされます。
・路線価
・立地・利便性
・将来性
・流動性
・築年数
・法定耐用年数
・再調達費用
上記のような内容を審査したうえで、担保価値が算出されます。
人気のあるエリアや将来性が高いエリアの不動産であれば、担保価値が高くなるでしょう。
不動産担保ローンの審査基準は公表されていないため、絶対に審査に通る方法はありません。
しかし、審査に通りやすくなるためのコツがあるため、不動産担保ローンの審査に落ちたことがある方は、参考にしてみてください。
不動産担保ローンのサービスを提供している会社は、銀行とノンバンク系に大別されます。
一般的に、ノンバンクの方が柔軟に審査を進めてくれる傾向にあるため、「審査に通過すること」を最優先にしたい場合は、ノンバンクに申し込みましょう。
消費者金融やクレジットカード会社、信販会社がノンバンクに該当するため、複数のノンバンク系不動産担保ローンを比較検討しましょう。
実際に、銀行の不動産担保ローンでは審査に落ちたものの、ノンバンクの不動産担保ローンの審査に通過するのはよくあることです。
また、会社ごとに審査基準は異なるため、複数の不動産担保ローンに申し込むことも検討しましょう。
不動産担保ローンの審査では、不動産に関する書類や自分の収入に関する書類など、さまざまな書類を用意する必要があります。
手続きが煩雑な点は不動産担保ローンのデメリットではありますが、申込内容や書類に不備があると、審査で不利になるため注意しましょう。
債権者は不明点を「リスク」ととらえるため、申込者や物件に関する情報が不足していると、審査に落ちる可能性を高めてしまいます。
また、書類が不十分だと不動産の担保価値を正しく評価されない可能性もあるため、申込内容に不備がないように気を付けましょう。
不動産担保ローンの審査を申し込む際に、必要となる主な書類は以下のとおりです。
・本人確認書類
・収入確認書類
・実印
・印鑑証明書
・固定資産評価証明書
・不動産登記簿謄本
・登記済権利証(または登記識別情報)
・公図
・地積測量図
・建物図面
・建築確認通知書
不動産担保ローン会社によって必要となる書類や持ち物は異なるため、事前に確認すると良いでしょう。
住宅ローンなどの借り入れがある場合は、できるだけ返済してから申し込みましょう。
借り入れが多ければ多いほど「返済能力が低い」と判断されてしまい、審査に落ちやすくなります。
また、住宅ローンの残債がある不動産を担保にする場合、ローンの残債が少なければ、第二抵当権者以下の債権回収リスクが低くなります。
借り入れが少なければ少ないほど審査に通りやすくなるため、余力があれば繰り上げ返済などを検討してみてください。
不動産担保ローンは、無担保ローンと比較すると手続きが煩雑で審査結果が出るまでに時間がかかります。
クレジットカードやカードローンの中には最短即日で融資を受けられるものがありますが、不動産担保ローンの審査は数週間かかるケースが一般的です。
不動産担保ローンに申し込んだときは、まず仮審査が行われます。
仮審査はあくまでも「仮」の審査で、本人の返済能力や信用力、不動産の担保価値などを簡易的に評価します。
仮審査にかかる期間は会社によって差がありますが、一般的に数日~1週間程度です。
仮審査は簡単な書類で申し込めるため、仮審査に通過したとしても本審査に通過できるとは限りません。
例えば、不動産担保ローンの調査員が現地の不動産を確認したときに、想像以上に条件が悪い不動産だったようなケースでは本審査で落ちる可能性があります。
仮審査に通過した後は、本審査を受けることになります。
本審査は、実際に融資を行うかどうかを最終的な判断するフェーズです。
仮審査よりも用意する書類が多く、本審査にかかる期間は1~3週間程度が目安となります。
不動産の登記簿謄本の登記時事項証明書などの書類提出が求められるため、事前に準備すると審査がスムーズです。
仮審査はあくまでも簡易的な審査でしたが、本審査では申込者の返済能力や信用力、不動産の担保価値が細かく調査されます。
本審査に通過して融資を受けられることが決定したら、不動産担保ローンの契約を行います。
また、担保として提供する不動産に抵当権を設定する手続きなども行うことになります。
必要となる書類は会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
不動産担保ローンの契約と抵当権設定の手続きが完了したら、実際に融資を受けることになります。
融資実行日に、指定した口座にお金が振り込まれて一連の手続きは終了です。
調達したお金は使途が自由なので、さまざまな用途で活用できます。
また、実際に融資が行われた後は不動産担保ローンの契約内容に基づいて返済を行う必要があるため、延滞を起こさないように気を付けましょう。
審査に通るための対策を行ったとしても、残念ながら不動産担保ローンの審査で落ちてしまうことはあります。
以下で、不動産担保ローンの審査に落ちた対処法を紹介していきます。
複数の不動産を保有している場合は、担保として提供する不動産を変えてみましょう。
不動産ごとに担保価値が異なるため、担保価値が低い不動産から担保価値が高い不動産に変えれば、審査に通る可能性があります。
不動産の評価基準は時価や公示価格などを参考に判断されますが、申込者本人と会社側で認識が評価額の認識にズレがあることもあります。
そのため、複数の不動産を保有している場合は、異なる不動産を担保にして申し込んでみると良いでしょう。
審査に落ちてしまった会社とは異なる金融機関やノンバンクに、申し込みをし直す方法もあります。
各会社で審査基準は異なるため、申し込み先を変えるだけで審査結果が変わる可能性は大いにあります。
特に、ノンバンクの不動産担保ローンは金融機関よりも審査基準が柔軟で、臨機応変に審査を進めてくれるのが一般的です。
ノンバンクの中には、二番抵当でも不動産担保ローンの審査に通過できる可能性があります。一度不動産担保ローンの審査に落ちたら、ノンバンクを中心に申し込み先を変えてみると良いでしょう。
不動産担保ローン以外にも、お金を調達する方法はあります。
カードローンやビジネスローンなど、さまざまな金融機関や消費者金融がお金を融資するサービスを展開しているため、不動産担保ローンにこだわる必要はありません。
また、不動産を活用した資金調達方法として、リースバックやリバースモーゲージもあります。
・リースバック:自宅を売却して資金を調達し、家賃を払ってそのまま同じ家に住み続ける
・リバースモーゲージ:自宅を担保として提供して融資を受け、自分が死亡した後に自宅を売却して返済する
不動産担保ローン以外にも、資金調達する方法は多くあるため、不動産担保ローンの審査に落ちてしまった場合はほかの手段も検討してみてください。
不動産担保ローンでは、自分自身の返済能力や信用力、不動産の価値などが評価されます。
不動産担保ローンの審査に通りやすくするための対策は下記のとおりです。
・銀行ではなくノンバンクの会社に申し込む
・申込内容に不備がないようにする
・借り入れがある場合はできるだけ返済する
不動産担保ローンの審査基準は各会社によって異なるため、絶対に審査に通過できる方法はありません。
しかし、上記の対策を実践すれば審査に通る可能性を高めることができるでしょう。
不動産担保ローンの審査に落ちてしまった方やこれから申し込みを検討している方は、ぜひこちらの記事を参考にしながら対策を進めてみてください。